フードバンクとは
「余っている」食品を「足りない」人につなぎます
まだ安全に食べられるのに、さまざまな理由で企業や家庭で使われなくなった食品を引き取り、
食べ物を必要としている福祉施設・団体や個人へとどけることで、
食品本来の価値を取り戻し、有効利用されるような循環を生み出す活動です。
「余っている」食品=「食品ロス」とは
日本で、まだ食べられるにも関わらず廃棄される食品の量は、年間523万トン(2021年農林水産省及び環境省推計)。これは、国民一人当たりに換算すると、「お茶碗約1杯分(約114g)の食べ物」が毎日捨てられていることになると言われています。
「市場」において食品ロスが発生する理由
- ① いわゆる「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣
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期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるため、食品メーカーと小売店の間では「3分の1ルール」という慣習が存在しています。
賞味期限の期間の3分の1の期間を過ぎた商品は納品できないという取り決めで、さらに小売りの店頭では期間の3分の2を切った商品は商品棚から撤去するというルールがあります。
まだ賞味期限内であるにもかかわらず販売されない商品を生み出してしまう温床になっています。
近年は食品ロスへの関心の高まりを受けて、見直されたり改善の機運も生まれていますが、製造、物流、販売などの構造的な問題や、消費者意識など、課題が多いのが現実です。
製造と販売のミスマッチによる売れ残り
- ② 「定番カット」と呼ばれる商習慣
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食品メーカーによって新商品が販売されたり、規格変更が行われる場合には、それに合わせて旧商品が店頭から撤去されます。
消費の安全性には全く問題がなくても、販売上の都合で、行き場をなくす食品が生まれるのです。
- ③ パッケージの印字ミス、汚損・破損などの規格外品
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製造段階で生じるパッケージの印字や表記ミス、流通段階で発生する箱つぶれや汚れなど、ダメージを受けた商品は、店頭に並ぶことなく処分されます。
また、生鮮品などでは、曲がったキュウリなどに代表されるように、形やサイズの不揃いなどを理由に流通されない産品もあります。
箱が破損したレトルトカレー
皮が破れた豚まん
- ④ 季節性食品の売れ残り
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ひなあられやバレンタインチョコなどの期間限定食品や、餅やそうめんなどの季節性の食品は、販売予定数を終了せずに期間が終了し売れ残ることが多くあります。
売れ残った季節性食品
- ⑤ イベント用の食品の余剰
- スポーツ大会などのイベントに向けて用意された食品、展示会や試食、サンプリング用の食品など、見込み数をうわまって用意されるケースです。
「家庭」において食品ロスが発生する理由
- ① 「食べ残し」
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料理を食べられる量以上に作りすぎたり、予定以上に作ったりして残る場合があります。
分量や回数を計画的に調理することが食べ残しをなくすことになります。
- ② 「過剰除去」
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野菜の皮や茎など、本来なら食べられるところまで切って捨ててしまうことによる廃棄ロスがあると言われています。
- ③ 「直接廃棄」
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買ったものの食品棚の奥で忘れ去られていたり、たくさん買いすぎて使い切れなかったり、と、未開封のまま食べずに捨ててしまうケースです。
その中には、賞味期限内のものも多くあります。
使いきれず寄付された食品
「食品が足りない」とは
日本では相対的貧困率(可処分所得が全国民の中央値の半分に満たない国民の割合)が15.4%、ひとり親世帯の貧困率は44.5%(2022年国民生活基礎調査)。
また、子ども(18歳未満)の貧困率は11.5%と8人に1人が満足に食事をとれない深刻な状況です(2022年国民生活基礎調査)。
また、過去1年間に経済的な理由で食料が買えなかった経験を持つ世帯が13.6%、なかでもひとり親世帯では35.9%という調査結果があります(2017年 社会保障・人口問題基本調査 生活と支え合いに関する調査)。
フードバンクとは「FOOD」(食品)の「BANK」(銀行)
一方に「余っている」食べ物があり、もう一方で食べ物が「足りない」人がいる。
余剰分を集めて、必要なところにつなぐというのが「BANK」のイメージです。
この循環の仕組みを活用することは、食べ物に困る人を支援するだけでなく、生産、製造、販売など食品関連企業が抱える余剰食品の問題を解決し、ひいては社会のセーフティネットのひとつとしてお互いに支え合う地域づくりに貢献することになります。
- 支援を受ける側のメリット
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- 食費が助かる
- 食べて元気になる
- 食を得てほっとする
- 前向き暮らす力が湧く
- 企業にとってのメリット
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- 廃棄コストが減らせる
- 環境負荷が下がる
- 従業員の士気UP
- CSR(企業の社会的責任)の向上
- SDGs意識が根付く